2016-07-31

農業体験記録(2)

種別 : 農業インターンシップ

場所 : 山梨県中央市

期間 : 2016年6月下旬 ~ 7月上旬

体験内容 :

① 収穫

対象 : トマト(ハウス大玉/ハウス中玉)、ナス(露地およびハウス)、水菜、白瓜

所定の大きさや色合いを満たすものを収穫していくのだが、特にトマトは適合する色合いが微妙で意外と大変(若すぎても取り残しもダメ)。ナスは主として大きさ基準だが、大きい葉の後ろに隠れやすく取り残しないよう注意しないとならない。収穫物は所定のコンテナに積み込むが、白瓜などは大きさもさることながら比重も大きいのでかなりの重さになる。梅雨の蒸し暑い時期でハウスも露地も汗だくになりながらの作業だった。

中玉トマトの圃場(ビニルハウス内)。
収穫作業時、葉などから出る黄色い樹液が服に付着すると
 普通に洗濯しても全く落ちない。最初に教えてくれって話。


② 選別・梱包・出荷

対象 : トマト、ナス、キュウリ、白瓜、ジャガイモ

完全な不良品については収穫時にある程度選別してしまうが、詳細なA/B品の選別は収穫後に人の手で行う。さらにそれを所定の重量となるよう段ボールあるいはビニルに詰め封をしていくが、同じ形状や大きさで揃えてという条件も加わるとなかなか大変で、時間をかけるな間違えるなとプレッシャーをかけられ、精神的にきつい作業である。梱包が出来たらそれをトラックに乗せ、契約スーパーの集荷場や卸売市場へ搬送する。


③ 草勢管理

対象 : トマト、ナス、キュウリ

成長するに伴い脇芽が発生するが、適宜これを切り落とすなどして主幹を伸ばすように仕向ける(芽欠き作業)。収穫しやすいよう主幹が上方へ成長するようネットにテープ等で幹を固定する(誘引作業)。ナスについては収穫と同時に1枚葉落とし(主幹の場合)や切り戻し(脇芽の場合)といった作業も同時に行う。


④ マルチがけ 、マルチ外し

対象 : キュウリ畑、キャベツ畑

マルチング(略してマルチと呼ばれることが多い)は、保温や雑草抑制などの目的で畝の表面を遮光性シートで覆い固定すること。慣行農業ではビニル素材の者が多く使われるが、自然分解する素材のものもある。実際に外し作業をやってみると土に埋めた裾は雑草の根が絡みついていたりして多くの時間を要するし、外したものの廃棄処分のことを考えれば、少々値が張っても外す手間の掛からない自然分解素材も選択肢の一つと言える。


⑤ 苗の定植

対象 : 露地キュウリ

マルチングが施された畝に50センチ千鳥の間隔でカッターで開口しながらキュウリの苗を定植した。暑いさなか、広大な圃場で延々と定植していくのは体力を使うが、黙々と集中して出来るので意外とこなせる。


⑥ 除草

対象 : 露地ナス畑、露地キュウリ畑、ハウス小松菜畑

畝に生えた雑草を引き抜き除去する。マルチングしている畝では開口した植え物の周囲のみが対象。炎天下での除草はなかなかきつい作業である。ちなみに、畝間や圃場周りには風よけや害虫忌避あるいは土質改善を狙い作物とは違う「緑肥」が植えられている場合があり、これは除草対象とはしない。

露地ナス圃場。
畝にはビニル素材(白)のマルチングが施されている。
畝間と圃場周りには意図的に蒔かれた緑肥が生えている。


⑦ 抜根・廃棄

圃場からは収穫物の不良品の他、芽欠き剪定した枝葉、引き抜いた雑草などが日常的に発生しその廃棄処理が必要となる。また収穫時期を終えた果菜類はいったん根を抜き、そのまま数週間放置して乾燥し軽くなったところを見計らって回収しやはり廃棄処理することになる。これらは産廃処理すれば費用がかさむが、土中に鋤込むといずれ分解し肥料になるため、耕作していない農地にいったん集積し、一杯になったタイミングを見計らって鋤込む機械をかけるようにするのだが、集積時の腐敗臭が凄いため周辺からのクレームもしばしば来るようである。廃棄量が多すぎることも原因の一つで、後述する。



体験所感 :

・研修先の農業法人は全国的にも有名なところ(社長のメディア戦略による。詳細後述)。私のように3週間というのは珍しいようだが、1週間単位で全国からコンスタントに研修生がやってくる。それが影響しているのか、受入に当たっては実に事務的でアットホームさは微塵も感じられない。担当者の性格に因るところも多いのかもしれないが、神経質すぎるルールに遵守が求められる一方、まともな空調もない不衛生な部屋をあてがわれ、同時期に入った研修生は「ウェルカムかと思って来たが、こんな冷遇されるとは思わなかった」と言い残し帰って行った。

・実際、農作業に直接携わっている社員(30代ぐらいまでの若い人たちが多い)は皆真面目で、研修生にも丁寧に接してくれる。しかしながら前回赴いた研修先と比較すると、爽快な明るさがなく疲弊している感が否めない。細かいルールの下で長時間労働、収益的なプレッシャーも常にかけられて低賃金となればこうなってしまうのか。

・それだけ神経質にやっても大量に捨てられる農産物。不良品は致し方ないかもしれないが、形だけの規格外品を大量に捨てるのは本当に忍びないし、さらに無駄な労力を生んでいることに大きな矛盾を感じる。ましてや選別する作業者をあてがえないと言う理由で、収穫物をまるごと廃棄したり、たわわに実る圃場を全て抜根処理したりする現実を見ると、ホントに呆れてしまう。

・経営する社長は出張にばかり出ていて事業所にはほとんどいない。社員の人も3ヶ月に一度ぐらいしか顔を見ることがないらしい。社長のメディア戦略で講演などして全国回ってるとのことだが、話によれば芳しくない農業収益をこの収入で補っているのが現実らしい。何とも本末転倒である。

・今回の研修では技術的ことよりも、自分がやはり作物を育てるのが好きだということ、また収穫や圃場の管理といった農作業にも十分適応できる確信を得たことが成果である。また一方で、流通システムの過度な規格に合わせるために多大な無駄を生じるような農業は、決して自分の目指すものではないと痛感した。その結果、私のライフプランは新たな展開を迎えることになるが、詳細は次回以降の投稿で記す。
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