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2017-05-23

苺&桜桃(2017年春)

観光苺狩り農園は12月に始まってGWまでなんてところも多いが、うちの菜園の苺はここに来て盛り。全体で4~5㎡程の露地栽培スペースを、端から雑草抜きつつ独り苺狩りするのがここ最近の日課。いかんせん足が早い果物なので、熟れた物は残さず摘んで食べてしまうが(笑)、次の日にはまた熟した物が沢山でるので、しばらくは尽きない模様。

無施肥だからか小ぶりではあるけれども、甘みと酸味のバランスは悪くない。
宿根なので春になると何もせずとも出現するが、雑草も多いので管理フリーとは行かない。

フルーツと言えば、昨年末に植えた暖地桜桃(桜桃)の実が熟し始めた。いかんせんちっちゃくて食べ応えはないけど、1m足らずの樹高で一生懸命花を咲かせ実をつけたことに健気さを感じている。数年後には樹も大きくなってラベルに載ってるような大粒の実がなればいいのだけれど。

このまま害獣の被害なしに順調に育ってくれることを願うばかり。

2017-05-14

茶摘み&製茶(2017年春)

現在の地に移住してきて半年が過ぎたが、あいかわらず日々やることが多く、忙しい状態が続いている。さらに季節が暖かくなり新しい植え物の準備にも追われる中、時期をずらせない待ったなしの一大作業が「お茶」である。

建屋と菜園の間にある茶木1レーン(無施肥無農薬)。
一部は収穫10日前から遮光シートをかけ「かぶせ」にしてある。

昨年の今頃は川根で茶作業をしていたので茶摘みの経験もあるが、茶刈機はおろか手ばさみも使わず、独り手摘みでこれを行うのはなかなか大変な作業である(品質は良いけど)。

手摘みだと、この容器1杯摘むのに約1~1.5時間ほど掛かる。
加工時間を入れると1日2杯がいいところ。5日かけて合計10杯の生葉を収穫した。

収穫した生葉はしばらく自然乾燥させた後、蒸し工程、揉み工程、乾燥工程、火入工程を行い製茶する。勿論専用の機械などないから手持ちの料理道具をフル活用し「手作り」でこれを行うわけだが、要領を得ない最初のうちは完成が深夜になり、へとへとになった。

製茶には電子レンジやガスレンジを利用。乾燥しきるにはかなりの時間を要する。
比較し易いように写したが、収穫容器一杯から150~200gの製茶が出来た。

生葉は通常の物と「かぶせ」をして旨味成分増をした物の2つを使った。浅蒸しや深蒸しで緑茶、または半発酵させて烏龍茶にしたりと加工方法もいろいろと変えて製茶した。加工期間は試飲を重ねたので水分捕りすぎでガブガブ、毎晩3度トイレに行くような状態だった。

香り・色・味といった「品質」の観点や、省力・省エネといった「効率」の観点から
加工方法については今後も研究が必要だが、とりあえず栽培から製茶まで一通り行い、
そこそこ飲めて楽しめるものが出来たことには達成感がある。
ちなみに出涸らしも大根おろしで食べたら最高に美味かった。

時間は掛かったが最終的にはそれなりの量が出来たので、お世話になっている村民の皆さんへお裾分け。手作りで良くも悪くも量産して売っているものとは風味が違うので、試飲してみたい人はお越しあれ。来年はGWにあわせて「茶摘み&加工体験イベント」でもやれば自分で刈って加工する量少なくできるかもなんて考えも(笑)。

茶摘後は品質および作業性改善を目的に「中切り」を行った。
茶木の幹は硬いので刈込鋏で刈っていくのは重筋作業だ。
枝を伸ばすのが早いので、茶木の管理もラクじゃない。。。

2017-03-12

キノコ植菌

はじめは家周りのヒノキ伐採木の活用として考えていたキノコ植菌であるが、日当たり改善のため切り倒した広葉樹があるため、キノコ原木として適性の良いこちらを利用することにした。

キノコは対応樹種が広く初心者にも育てやすいと言われるヒラタケを選択、原木にドリルで穴を空け、種駒を500駒打ち込んだが、丸太回すのが大変でかなり端折ったにもかかわらず、原木1本辺りの打ち込み数が多く、準備した原木の半分程度が余ってしまった。なので急遽シイタケ種駒も500駒調達して追加打ち込みした。

共通しているのは広葉樹ということだけ。樹種も太さも状態も様々な原木で最初は試してみる。ちなみに原木の下に広葉樹の葉っぱを敷いたら夜中に鹿がそれを食いに来て、辺りに黒豆散乱していったので慌てて防獣網を仮設した。

植菌後、乾燥防止や遮光のため原木にヒノキの葉を被せ、その上から毎日散水中。結果が出るのはまだ大分先だが、果たしてうまく収穫にありつけるだろうか。

2016-10-18

庭の草刈り~畝立て

既存の菜園部には先住者が植えた物が残っていてもろもろ整理が必要なため、先に庭部を新たな菜園として整備しそこから栽培を始めることにした。

引越してきた時の庭の状態。まず立鎌で全体の草刈りを行い、
ちらほらある植え物の移設、高枝鋸で周囲樹木の枝払いと進める。

畝立て後の状態。水はけは良さそうなので平畝でも良いかと思ったが、
植えるところと歩くところを解りやすくしたかったので、浅く畝間を堀った。
生まれたての畝に早速落葉のベールが掛かって、ちょっといい感じ。
奥に寄せ置いた伐採枝は、野菜の播種が終わってから解体予定。

2016-09-08

栽培計画(2016年秋)

購入した田舎物件の引受日が9月20日と決まった。そこから毎日2往復ぐらいしてせこせこと自力で荷物を運び、約2週間かけて引越完了させる予定でいる。

引越後には暑さも引いて屋外作業するには良い季節を迎えるだろうから、すぐに農作業にかかろうと思う。なにせ自給農でできるだけの食をまかなおうという企みなので、時期を逃さず作物を植え育てていくことが肝心であるし、初めての土地で初めての野菜の栽培を試すという好奇心も膨らんでいる。そんな訳で、この秋からの栽培計画を立ててみた。


① 緑肥類


レッドクローバー、レンゲソウ、エン麦、はだか大麦

・庭部と傾斜部は現状ほぼ植え物が無く、菜園としては手つかずの状態のため、窒素固定効果の高いマメ科や、深く根を張るイネ科の緑肥を植え土壌改良をはかる。また枯れ草は畝を被覆する有機物マルチ材として利用する。

・麦類については緑肥としてだけでなく、穀物としての期待がある。特にエン麦はオートミールにして常食化出来れば最高なのだが、いかんせん穀類は「籾摺り」というとんでもなく面倒くさい工程を経ないと食用できず、これを如何にして行うかも大きなテーマになってくる。その点、はだか大麦については籾摺りなく容易に実が取り出せる特徴から選択したが、どのように加工すれば簡単に美味しく食べられるか研究が必要である。

庭部では麦類を中心に栽培する。

② 葉物類


小松菜、雪白体菜、べか菜、山東菜、からし菜、高菜、野沢菜、水菜、壬生菜、葉大根、キャベツ、芽キャベツ、白菜、タアサイ、ルッコラ、ウォータークレス、コーンサラダ、ネギ、葉ネギ、ニラ、ホウレンソウ、フダンソウ、レタス、サラダ菜、春菊、葉ゴボウ、バセリ、ミツバ、アシタバ

・秋からの栽培は葉物が中心になってくる。あれもこれもで品種が増えたけれども、少量ずつ育てて楽しんでいきたい。中でもネギは九条と石倉の2種植えるが、それっぽい物が収穫できるか楽しみである。

・栽培は相性の良い種類(コンパニオンプランツ)を意識しながら混植にて行うが、特に葉物はアブラナ科が多く交雑しやすいため、自家採種することを考えると栽培位置や組合せに工夫が必要になってくる。


③ 根菜類


大根、小カブ、タマネギ、ニンニク、ゴボウ

・ベランダ菜園でやるには難しかった根菜類の栽培が始められるのは嬉しい限りだ。大根は短根種を数種類植えてみる。ゴボウも短根種を植える。ニンニクは専用の種球は高いので、スーパーで普通に食用として売ってるものを植えてやろうと思っている。

現在の菜園。栽培実績があるのは心強い。

④ 果菜類


スナップエンドウ、キヌサヤエンドウ、グリーンピース

・夏場とは異なり秋からの果菜類は少ない。春からの収穫を見込んで晩秋にエンドウ系の播種をするが、冬場の強風に耐えられるよううまく育てたいところだ。


⑤ 果樹類


ブルーベリー、オリーブ、柿、ビワ、イチジク、キンカン、柚子、レモン、サクランボ、小梅、プルーン、あんず、アーモンド、ユスラウメ、ビックリグミ、モリンガ、ポポー

・果樹は主菜ではなく、田舎暮らしに彩りを与えるものであるが、種まきして数週間から数ヶ月で収穫できる野菜と違い、結果が出るまで数年かかるのでなるべく早く植え付けたいと考えている。植え付けは傾斜部が中心となるが、状況により鳥獣害対策も考えなくてはならない。

現在手つかずの傾斜地。果樹を植え有効に利用したい。

⑥ 菌類類


ヒラタケ、ナメタケ、クリタケ

・キノコ原木には一般的に広葉樹が用いられるが、菌種によっては針葉樹でも栽培することが可能らしい。所有地内の整備でヒノキ樹木を伐採するので、これを活用し栽培を試す。もっともわざわざ栽培しなくても、裏山に入れば自生しているかもしれないが(笑)。

庭周りのヒノキは毎年一本ずつ切り倒し、キノコ原木に利用する予定。


種苗や資材の購入は地元のホームセンターやネットショップを利用するが、取扱品目や価格が大きく異なるので、いろいろ覗いて情報収集することが欠かせない。それにしてもヨドバシカメラが野菜種まで売ってるのには脱帽(しかも安価で送料無料)。通販は送料が安いとホント助かります。


2016-08-08

移住先決定

目指すライフスタイルに適した物件と出会った私は、商談を行い、正式に購入契約をした。賃貸と違い不動産取引は初めての経験となるが、探し始めてから思いのほか速い展開に自分でも驚いている。


移住先は静岡県下田市北湯ヶ野。下田市北西部で松崎町との境の辺り。現居からは伊豆半島をほぼ真っ直ぐ南下した位置で、一見近そうに見えるが、曲がりくねった道を通り 「リアル天城越え」 になるので、車で約2時間かかる。それにしても移住先のド田舎なこと。現居は意外と都市部だったのね(笑)。

土地全体を空から見るとこんな感じ(黄色枠内:約 2,150㎡)。影になっていて分かり難いが、北側が平坦地、南側が傾斜地になっている。

北東部に位置する家屋と庭。家屋は木造平屋で床面積約100㎡、先住者の皆さんのおかげで築30年にしては綺麗に保たれている。家屋の向こうに私道があり、隣接して普通車約3台分の駐車スペース有。庭は来年の春までに軽く畝を建てて菜園化する予定でいる。庭周りには既に茶(写真左)、ミョウガ(建屋左)、シークワーサー(写真右)などの植込みがあり、有難く引継いで活用させて貰う(やったね!)。

家屋南側には庭の倍ほどの広さの菜園があり、すぐにでも利用できる。(庭と合わせて1,000㎡程度の菜園スペースが確保でき、理想通りである)写真手前の一群はイチゴ。庭同様、既存の植込は引継ぎ活用(やったね!)。写真奥に見える傾斜地も所有範囲。現状はほとんど手が入っていないが、柿、ビワ、ブルーベリーなど果樹を少しずつ植えていこうと考えている。斜面裾辺りにはいずれ鶏舎を作り鶏も飼いたい。引越前から楽しみだ。

菜園横には屋根付きの道具置き場があり、その一角には耐火レンガで作られたピザ焼き窯やカマドがある。勿論現役。これだけでもアウトドアクッキングやBBQが十分に楽しめるが、加えて、スモークを作るための燻煙装置もいずれ自作したい。

家屋の間取りは3LDK。写真は10畳あるリビングで、薪ストーブ付属。現住者がいることもあり、いずれの部屋も綺麗に保たれている。自分は荷物がいろいろと多いので、有る部屋は全て活用するが、ゲストが宿泊に利用出来るよう一部屋だけは空けておく予定。電気(東電)、ガス(プロパン)、水道(私設定額)、水洗トイレ(洋式)。インターネットは収容局が遠く、スピードこそ期待できないが、現住者がADSLを使えているようなので安心している。下田の市街地までは車で約30分。定期的に買い出しに出る必要があるが、「全然苦にならない」とは現住者の奥様談。


現住者が転居する時間も必要なため、実際の引受は9月末、引越完了は10月中旬になる見通し。それまでに移住先でやりたいことをリストアップし、実行計画を練るつもりだが、あれやろうこれやろうと思いを巡らせるのは実に楽しい時間だ。また落ち着いたら現地でお披露目BBQをしようと思っているので、希望者はレスポンスを(笑)。

2016-08-06

物件探しは急展開

自給農をベースとした田舎暮らしをすることに決めたので(過去記事「自分のための農」参照) それが可能となる物件探しを開始した。


◆まずは探索エリアの設定


探索エリアを広げ過ぎても的が絞れないので、最初に以下のように決めた。

・自力で何往復かしながら引越荷物を運ぶつもりなので、現居から片道2時間程度の範囲とすると、静岡県中部~東部、伊豆半島全域、山梨県南部、神奈川県西部が対象。

・できれば雪があまり降らず、凍らないところ。

・風の強さや塩害の懸念から沿岸部は極力避ける。


◆探索方法はインターネットがメイン


数ヶ月~数年、転々と旅を続けて理想とする移住先を見つける人もいれば、惹かれた地域に何十回も足を運び最適な物件を探す人もいる。確かに時間をたっぷりかけて探せば目も肥えて、いい物件と巡り会える確率は上がるだろうけど、移住することが最終目的ではない自分にとっては、時間や費用を多大に探索に注ぎ込むのは得策でない。したがって、まずは出来るだけ現居での情報収集に努め、条件に合う候補が見つかったら赴いて現物確認という方針にする。

情報は不動産情報誌などにも載っているが、田舎暮らし物件は少ない。逆に移住専門誌に載るものは競争が多く、こちらまで回らない。一方、インターネットで地域不動産屋の物件情報を検索閲覧し問い合わせをかけると、新着の類似案件も含めメールで案内してくれて便利なので、これをメインの探索方法とする。

ちなみに、自治体がやってる 「空き家バンク」 もあるが、あまりいい物件はない。(案件数少なく質も悪い。付帯情報も少なく利用者目線が薄い。なのに利用手続は超面倒。)まあ見る人によっては掘り出し物があるかもしれないので、一回は覗いて見てもいいかも(笑)。

楽天ポイントを使って入手した格安のカーナビ。
お世辞にも高性能だとは言えないが、
田舎暮らし物件の見学や周辺環境の調査には役立つ存在。

◆賃貸か購入か


田舎暮らしは移住リスクがあるため賃貸から始めるべきだと言う意見が定番で、可能なら私もそうするべきだと思うが、実際は田舎の賃貸物件などほとんど表に出てこないのが現実。理由は所々あるだろうが、儲からないので不動産屋が取り扱わないのが主たるところだろう。

現地に住み始めれば口コミや人づての紹介で得られる賃貸情報もあるだろうけど、それはまさに「卵が先か、鶏が先か」というジレンマ。仮にお試し移住したとしても、そこで自分に都合いいものがもたらされる保証はないし、それがいつになるかもわからない。若くない自分としては無駄な時間の浪費だけは絶対避けたいのでその方法はあり得ない。

一方、売り物件は内容こそ千差万別ではあるが、調べればそれなりに出てくる。ただ田舎暮らし物件については地域的偏りが大きい(川根は古民家、伊豆は中古別荘が多い。おくしず(静岡市中山間地域)は情報出ない)。中古物件は安いもので300万円ぐらいからあり、現況と予算の兼ね合いで選ぶことになるが、格安物件には大幅な補修が必要なものや、月々の維持管理費が高額なものもあるので注意が必要だ。そういう意味では数年空き家状態のものより、現状居住者がいる物件の方が綺麗に維持されているだろうし、直接いろいろな状況が聞けるのでメリットが大きい。

セルフメイドでいろいろとやりたい自分は、所有物のほうが何かと自由で気が楽だ。そんなわけで自分は中古物件を買うという方針で進めることにした。


◆自給農に適した物件は 「農地でない土地付き」


自給農をやるためには土地が必要である。自給に必要な面積を1人当たり500㎡(過去記事参照)とするなら、余裕を見て倍の1,000㎡程度の平坦地があれば十分だろう。ただし登記地目が「田」や「畑」などの農地でないこと。農地は「農業」を行うための土地であり、認められた農家しか所有することが出来ない(農地法の規制)ので、これら地目が物件に含まれているとかえって厄介なのである。自給農はいわば家庭菜園なので「宅地」「山林」「原野」「雑種地」などの地目で問題なく可能。出来ればより固定資産税の安い地目でやるのが理想だが、田舎物件だとたいして変わらないかもしれない。

ただ、別荘地物件は一般的に傾斜地が多く自給農には向かない。一見格安に見えても購入費とは別に毎月高額の管理費が必要だったりするので注意が必要。周りは移住者ばかりで気が楽だけど。

住居については、自給農をやる土地に隣接していた方が作業や管理の都合上望ましい(飛び地になってしまうと不便)。住居広さは、自分が結構な物持ちなこともあり50㎡以上欲しいところ。補修不要が理想だが、そこは価格との兼ね合いによる。作業道具の収納にちょっとした納屋や作業小屋が付いてればベストだが、必要なら自分で整備すればいい。原始的な生活を望んでいるわけではないので、水道、電気、ガスは必須。テレビは映らなくても構わないが、インターネット環境は何とか確保したいところだ(田舎物件はここが難しいところ)。

他にも近隣住民や集落の慣習、物資調達先(スーパーやホームセンター)までの距離など、選定に関わる要素はもろもろあるが、それらについては現地見学で確認し妥協できるものか判断する。物件購入予算は、賃貸ベースで見込んで 月3万×12ヶ月×20年=720万円(補修費用含む) を上限目安とした。

移住先の近隣に日帰り温泉施設なんか有ればラッキーだけど、
あれもこれもと欲をかいて条件を増やすと物件は定まらない。

◆物件との出会いは「縁」である


南伊豆地域を取り扱う不動産屋のサイトに、私の設定条件を満たす物件がいくつか載っていた。私の現居は伊豆北部であるが、同じ伊豆でも南伊豆地域までは車で2時間程度要する距離があり、趣も大分異なっている場所である。不動産屋にメールでこれら物件についての問い合わせを行い、物件見学を申し入れた。

実際に現地に赴き見たり聞いたりすると、資料には載っていない事実がいろいろと見えてくる。最初に見学に行ったところは、自分の中で最有力視していた物件で、豊かな自然環境と自由に使える土地の広さに魅力を感じていた。しかし実際訪れてみると、空き家になってから数年経過していたこともあり、住居は入り口の天井が腐って落ち、床は植物のツルが這い、まともに住むには相当手直しが必要な状態だった。また付随する土地はほとんどが傾斜地で、平坦部分はごく僅か、いずれも管理されず荒れ地になっていて、これはちょっとリスク高いなということで候補から除外。

次に見学に行ったところは、まだ居住者がいる物件で、住宅と広い菜園が綺麗に維持されていた。そこの奥様が物件のこと、生活のこと、集落のことについて明るく話してくれた。その雰囲気からここでとても楽しい生活をされてきたことがよく伝わってきた。この周辺は移住者が多く個々が自由なスタイルで生活していると言うこと、またそれが面白味になっているとのことも聞き、私自身がさまざまなことを試しながら生活する場所として上々な環境であると直感的に感じた。

正直、物件見学に行く前は、現地で様々な現実を見せつけられ落胆することも想定していたし、自分に適した物件を見つけるにはそれ相当な時間が掛かるだろうと覚悟していた。しかし思いがけずこんなに早い段階でよい物件に巡り会え、これはきっと「縁」なのだと痛感したのであった。


◆自分の感性を信じ、跳ぶ


いい物件を見つけたからと行っても、それがいつまでも売りに出されている訳ではない。折角のチャンスも、もたもたしていれば別の人が先に契約してしまうかもしれない。一方で田舎中古物件とはいっても土地家屋の購入は高額の出費であり、軽々に判断出来ないのも事実だ。それ故に「本当に買っていいのか」と反芻自問することにもなり、ともすればジレンマに苛まれることになる。

しかしいつまでも心配ばかりしていたら、新しいことには踏み出せない。勢いで物事を行うのは嫌いな性分だが、時々に巡り来る「機」を捉え乗って行く判断も人生には必要であろう。一通りやるべきことをやったら、勇気を持って決断し前に進むべきだ。私は自分の感性を信じ、思い切って跳ぶことにした。

問い合わせから25日で購入契約した田舎暮らし物件の詳細は、次回の投稿で。

2016-08-04

自分のための農

◆農業研修を経て考えること


作物を植え、管理して育て、収穫し食す。このことへの興味関心は、2度の農業研修を経て一層大きくなり、本格的に取り組んでみたい気持ちはさらに増した。また肉体的にも農作業に十分適応できると確信した。

しかし一方で、大量生産かつ大量廃棄、加えて過酷労働で低所得といった現実を目の当たりにして、慣行農業にはすっかり幻滅してしまった。
(過去記事 「農業体験記録(2)」 参照)

自分で育てた野菜は愛おしい。
それだけでも十分美味しくいただけるものを、
見た目だけの理由で大量に廃棄するなんて、
私にはとても考えられない。


◆就農研修受入拒否は結果的に幸いした


実は最初の農業体験の後、県の企画する「新規就農者研修」に申し込んでいた。これは受入農家のもとで1年間の研修を行った後、その地域&研修作物で就農するというプログラムである。新規就農者助成金の給付年齢を超えていたため研修中は無収入だが、修了後には地域JAの支援により農地と販路が確保されるため、農業設備に数千万の初期投資が必要でもこのレールに乗る方が手っ取り早いと考えたわけだ。

応募後、農林事務所の面談で好感触だったので、すっかりその気になっていたが、受入先農家の訪問を提案されたので訪ねて行ったところ「奥さんの協力が得られない者や独身者は受け入れない」とその場で門前払いされた。事前に癖の強い人だとは聞いていたが、あまりにも失礼な対応に呆れてしまった。ただ後日冷静になって考えると、奥さんという無償の専従者をも酷使して労働しないと、とても回していけない現実があるということであって、多大な投資と過酷労働でかろうじて成り立つようなものに勢いで身を投じなくて良かったとつくづく思う。

県が主催する農地見学会で遠州地域へ行ったとき、
JA担当者は新規就農者の受入条件を
「投資資金800万以上あって、妻帯者であること」と言った。
さすれば就農3年後に350万の所得が見込めるってさ、共稼ぎで。


◆私が目指すべきもの


そもそも会社を辞めた自分が目指したものは、

” セルフメイドな生活、精神的豊かさを得るため 、田舎暮らしをしよう ”

ということである。そこでの収入源として「農業」を想定したため、農作業体験や移住先情報収集を兼ねて農業研修に参加したのである。しかし、経済性に主眼を置いた「慣行農業」を展開することで、精神的豊かさどころか疲弊してしまう可能性が高いとなれば、目指すライフスタイルとは大きく反目してしまう。

農をベースに精神的豊かさを求めるような田舎暮らしは、所詮「絵に描いた餅」の理想論だろうか?数週間ネットで情報を収集したり図書館で本を読み漁ったりしながら自問自答の末、たどり着いた結論は、

” 商売としての農ではなく自分のための農、
  すなわち 「農業」 ではなく、「自給農」 をやろう ” ってこと。

【自給農のメリット】

・地域農政や経済などに縛られることなく、自分の作りたいものを自由に作ることが出来る。

・基本自給用なので理不尽な出荷規格にあわせ廃棄するような無駄はない。

・当然出荷ノルマもない。

・等身大の 「自給農」 なら1人当たり 5アール(500㎡)もあれば事足りるらしく(中島正 著「自給農業の始め方」より)、土地の確保は小規模でいい。

・なので大がかりな機械や設備は必要としない(イニシャルコスト、ランニングコスト共に小さい)。

・「有機農法」の手法を取り入れ、資源を有効に利用することで、無農薬かつ少肥料での栽培が可能になる。

・もし沢山収穫できたら販売したっていい。法律的に全く問題なし。

【自給農のデメリット】

・農による収入は期待できない。
⇒ 幸い蓄えがいくらかあるので、食いつぶしながら行けると踏んでいるが、生活費を補填する必要があるなら、時々バイトに出たっていいよね(もちろん農でなくていい)。

・生産効率が悪い。
⇒ 商売じゃないので問題なし。むしろ効率など求めずじっくり楽しくやりたい。

・農業従事者でないので、固定資産税が激安な「農地」の所有は出来ない。農業資金の無利子借入も出来ない。
⇒ 大規模にやる必要がないので、実質的に関係なし。

自給農は言ってみればベランダ菜園の拡大版。
ビジネスじゃないからこそ楽しくやれるのかもしれない。


目指す方向がハッキリしたことで、心のモヤモヤは消え、一気に視界良好となった。田舎暮らしへの意欲も一層増し、条件を満たす物件探しにアクセルを踏み込むと、好機は意外と早くやって来るのであった。詳細は次回の投稿で。

2016-07-31

農業体験記録(2)

種別 : 農業インターンシップ

場所 : 山梨県中央市

期間 : 2016年6月下旬 ~ 7月上旬

体験内容 :

① 収穫

対象 : トマト(ハウス大玉/ハウス中玉)、ナス(露地およびハウス)、水菜、白瓜

所定の大きさや色合いを満たすものを収穫していくのだが、特にトマトは適合する色合いが微妙で意外と大変(若すぎても取り残しもダメ)。ナスは主として大きさ基準だが、大きい葉の後ろに隠れやすく取り残しないよう注意しないとならない。収穫物は所定のコンテナに積み込むが、白瓜などは大きさもさることながら比重も大きいのでかなりの重さになる。梅雨の蒸し暑い時期でハウスも露地も汗だくになりながらの作業だった。

中玉トマトの圃場(ビニルハウス内)。
収穫作業時、葉などから出る黄色い樹液が服に付着すると
 普通に洗濯しても全く落ちない。最初に教えてくれって話。


② 選別・梱包・出荷

対象 : トマト、ナス、キュウリ、白瓜、ジャガイモ

完全な不良品については収穫時にある程度選別してしまうが、詳細なA/B品の選別は収穫後に人の手で行う。さらにそれを所定の重量となるよう段ボールあるいはビニルに詰め封をしていくが、同じ形状や大きさで揃えてという条件も加わるとなかなか大変で、時間をかけるな間違えるなとプレッシャーをかけられ、精神的にきつい作業である。梱包が出来たらそれをトラックに乗せ、契約スーパーの集荷場や卸売市場へ搬送する。


③ 草勢管理

対象 : トマト、ナス、キュウリ

成長するに伴い脇芽が発生するが、適宜これを切り落とすなどして主幹を伸ばすように仕向ける(芽欠き作業)。収穫しやすいよう主幹が上方へ成長するようネットにテープ等で幹を固定する(誘引作業)。ナスについては収穫と同時に1枚葉落とし(主幹の場合)や切り戻し(脇芽の場合)といった作業も同時に行う。


④ マルチがけ 、マルチ外し

対象 : キュウリ畑、キャベツ畑

マルチング(略してマルチと呼ばれることが多い)は、保温や雑草抑制などの目的で畝の表面を遮光性シートで覆い固定すること。慣行農業ではビニル素材の者が多く使われるが、自然分解する素材のものもある。実際に外し作業をやってみると土に埋めた裾は雑草の根が絡みついていたりして多くの時間を要するし、外したものの廃棄処分のことを考えれば、少々値が張っても外す手間の掛からない自然分解素材も選択肢の一つと言える。


⑤ 苗の定植

対象 : 露地キュウリ

マルチングが施された畝に50センチ千鳥の間隔でカッターで開口しながらキュウリの苗を定植した。暑いさなか、広大な圃場で延々と定植していくのは体力を使うが、黙々と集中して出来るので意外とこなせる。


⑥ 除草

対象 : 露地ナス畑、露地キュウリ畑、ハウス小松菜畑

畝に生えた雑草を引き抜き除去する。マルチングしている畝では開口した植え物の周囲のみが対象。炎天下での除草はなかなかきつい作業である。ちなみに、畝間や圃場周りには風よけや害虫忌避あるいは土質改善を狙い作物とは違う「緑肥」が植えられている場合があり、これは除草対象とはしない。

露地ナス圃場。
畝にはビニル素材(白)のマルチングが施されている。
畝間と圃場周りには意図的に蒔かれた緑肥が生えている。


⑦ 抜根・廃棄

圃場からは収穫物の不良品の他、芽欠き剪定した枝葉、引き抜いた雑草などが日常的に発生しその廃棄処理が必要となる。また収穫時期を終えた果菜類はいったん根を抜き、そのまま数週間放置して乾燥し軽くなったところを見計らって回収しやはり廃棄処理することになる。これらは産廃処理すれば費用がかさむが、土中に鋤込むといずれ分解し肥料になるため、耕作していない農地にいったん集積し、一杯になったタイミングを見計らって鋤込む機械をかけるようにするのだが、集積時の腐敗臭が凄いため周辺からのクレームもしばしば来るようである。廃棄量が多すぎることも原因の一つで、後述する。



体験所感 :

・研修先の農業法人は全国的にも有名なところ(社長のメディア戦略による。詳細後述)。私のように3週間というのは珍しいようだが、1週間単位で全国からコンスタントに研修生がやってくる。それが影響しているのか、受入に当たっては実に事務的でアットホームさは微塵も感じられない。担当者の性格に因るところも多いのかもしれないが、神経質すぎるルールに遵守が求められる一方、まともな空調もない不衛生な部屋をあてがわれ、同時期に入った研修生は「ウェルカムかと思って来たが、こんな冷遇されるとは思わなかった」と言い残し帰って行った。

・実際、農作業に直接携わっている社員(30代ぐらいまでの若い人たちが多い)は皆真面目で、研修生にも丁寧に接してくれる。しかしながら前回赴いた研修先と比較すると、爽快な明るさがなく疲弊している感が否めない。細かいルールの下で長時間労働、収益的なプレッシャーも常にかけられて低賃金となればこうなってしまうのか。

・それだけ神経質にやっても大量に捨てられる農産物。不良品は致し方ないかもしれないが、形だけの規格外品を大量に捨てるのは本当に忍びないし、さらに無駄な労力を生んでいることに大きな矛盾を感じる。ましてや選別する作業者をあてがえないと言う理由で、収穫物をまるごと廃棄したり、たわわに実る圃場を全て抜根処理したりする現実を見ると、ホントに呆れてしまう。

・経営する社長は出張にばかり出ていて事業所にはほとんどいない。社員の人も3ヶ月に一度ぐらいしか顔を見ることがないらしい。社長のメディア戦略で講演などして全国回ってるとのことだが、話によれば芳しくない農業収益をこの収入で補っているのが現実らしい。何とも本末転倒である。

・今回の研修では技術的ことよりも、自分がやはり作物を育てるのが好きだということ、また収穫や圃場の管理といった農作業にも十分適応できる確信を得たことが成果である。また一方で、流通システムの過度な規格に合わせるために多大な無駄を生じるような農業は、決して自分の目指すものではないと痛感した。その結果、私のライフプランは新たな展開を迎えることになるが、詳細は次回以降の投稿で記す。

2016-06-16

農業体験記録(1)

種別 : ボラバイト

場所 : 静岡県榛原郡川根本町

期間 : 2016年4月中旬 ~ 5月末

作業内容 :

Ⅰ. 菌床しいたけの収穫(仮選別含む)

栽培ハウスの中、ラックに置かれた人工菌床から生えた椎茸をはさみで切り、A品/B品に仮分けしながら採取していく。本来メインとなる作業だったのだが、時期的に茶が忙しくなるまでの数日間かつ短い時間作業したのみだった。

菌床しいたけ

Ⅱ. 茶園管理

① 耕耘機による中耕

茶木が根より酸素供給しやすいように、畝間を耕耘機で耕す。耕耘機はエンジンで回転・進行するものをハンドルでコントロールしながら行うタイプのものだが、場所によっては固い畝間があり、跳ね返りの振動が手首への大きな負担となる。

② 肥料散布

肥料撒き機を畝間に走らせて粒状の肥料を散布する。機械は上記同様エンジン駆動でハンドル操作するもの。振動は多くないが、慣れるまで散布スピードの調整が難しい。

③ 除草剤散布

エンジン付噴霧器のタンクに10リットルの除草剤を入れ背負い、茶園周りと畝間の雑草に散布してひたすら歩く。散布は茶木にかけないようノズル方向や噴霧量を調整しながら行う。天候や防除禁止期間などを意識して行わなければならない。

④ 雑草抜き・葉拾い

茶木には除草剤をかけることが出来ないので、畝の中に生えた雑草については手で引き抜く。特にイモヅルは先だけ抜いてもすぐ再生するので、根より抜く必要があり手間が掛かる。また茶木に乗った枯葉や茶以外の葉っぱなどについても茶刈りまでに取り払わなければならない。これらを行うことで、機械やはさみで茶刈した際の品質向上に繋がる。

川根名物の日本一短いトンネル。周りは茶畑が広がる。
⑤ 茶刈り

茶刈りには、乗用機による機械刈り、二人刈り機による機械刈り、手ばさみ刈り、手摘みといった方法がある。作業効率と刈り形状の品質は相反する関係にあるが、近年の茶況の下落や茶生産者人口の減少もあって、効率的な乗用機による機械刈りが一般的になっている。私は一番茶(新茶)刈り期に主として茶工場の受入業務に当たったため、二人刈りと手ばさみ刈りを少々やった程度であるが、バランスをとるのがなかなか難しい作業である。茶刈りは雨天時には行わないが、雨上がりや早朝はそのまま刈ると露が乗り品質を落とすので、刈る前にブロワがけの手間が発生する。

⑥ 茶葉搬送

刈り取った茶葉は熱焼けしないよう管理し、ある程度まとまったら速やかに荒茶加工工場まで搬送する。工場と離れた山奥の茶園を何往復もするのは忙しい。

⑦ ならし

機械刈りは地面に対して一定の高さで刈っていくため、茶葉の生育高さが一定でないと刈り取ったものにばらつきが出て品質が低下する。このため一番茶を刈った後、二番茶の生育に備え、表面を一定に刈り込む。作業的には収穫のない茶刈りだが、その分散らかるので掃除が伴う。

⑧ 中切り

来年の樹勢回復を目的に茶木を一定の高さ(地面より30~50cm)で刈込む作業。乗用の中切機が入れられるところはそれで行うが、端部の仕上げや地形により乗用機が入れられない場所については、せん枝機や円盤草刈機などを利用する。茶木は固く、畝全体を重いせん枝機で綺麗に行うのは肉体的にきつい。まして傾斜地となればなおさである。

⑨ 茶木伐採

先にも書いたとおり、乗用機による茶刈り作業の効率化が進んでいるが、どんな形状の茶園でも乗用機で刈れるわけではなく、道から乗用機が入れるように茶園を改造する必要がある。大きく茶木を伐採しなければならない場合もあり、重機が入れないところは機動性のある円盤草刈機を人間が振り回して伐採していくが、茶木の根本は太くて固く力が必要で、炎天下ではなかなかの重労働である。


Ⅲ. 荒茶工場作業

① 受入前設備清掃

お茶は煎じて飲む食品として工場の衛生および品質の管理は重要である。一番茶受入前と二番茶受入前の大掃除に関わるが、機器の中の水洗いなども行うためそれぞれ数日を所要する。

② 茶葉受入(搬入及び事務)

投入コンベヤ(写真左)と生葉コンテナ(写真中央)
私が関わった荒茶工場は周辺茶農家が組合員になって共同で運営しているもので、茶刈り時期に合わせて年3期ほど稼働する。それ以外の時期は基本使用されない。

稼働時は基本的に朝9:00~18:00まで茶葉の受入をする(天候によっては変更)。一連の流れは以下の通りで、受入スタッフ2名だが、一日に数度搬入ラッシュになるので、その時は一息つく暇もなく作業に追われる。搬入総量が10tonを超える日はもうクタクタである。

搬入者、茶園、品種、刈り方(はさみ・てづみ等)のデータ入力
   ↓
トラックスケールで重量取込(搬入車両ごと)
   ↓
サンプル番号の発行
   ↓
投入コンベヤの稼働、熱取り送風機の稼働
   ↓
茶葉荷下ろしおよび生葉コンテナへの投入
       ⇒(加工担当者が適宜加工行程に送る)
   ↓
サンプル採取および保管  ⇒(鑑定者が品質を格付)
   ↓
トラックスケールで風袋重量取込
   ↓
伝票の印字発行
   ↓
受入場の清掃

加工場内。通路右側に粗揉機が数台並ぶ。
熱を持った茶葉が搬入されてきたときには影響が出ないよう冷ましつつ投入したり、また露含みの茶葉が搬入されたときは重量より露引きしなくてはいけないためその程度を記録したり、茶葉の扱いには細かい配慮を必要とする。刈り方や品種で投入先コンテナを変えたりする場合にはさらに手が掛かる。特に一番茶は組合員にとって一番の収入源となるだけに、その頃は全体がピリピリしている。とはいえ、組合員さんと毎日会話していればそれなりに打ち解けてくるし、いろいろな情報を得ることが出来た。

③ 事務所雑務

工場の事務所に当たるエリアの清掃・片付け、電話対応など。やることはこまごまとたくさんあった。

④ シブ取り作業

製造された荒茶。この後問屋で仕上げがされる。
工場の加工機器は加工担当者により午後から稼働され、その日の受入た茶葉の荒茶加工が全て終わるのは深夜から早朝にかけてとなる。

粗揉機は茶葉を通すと内面にシブと呼ばれるタール上成分が付着し品質低下や機器安定稼働の妨げになるため、毎日機器が止まった後これをスクレーパー等で除去する必要があるが、加工担当者は機器停止後も荒茶を梱包し問屋へ出荷する準備があるため、受入等の我々が作業にあたった。機器は狭く作業性が悪い上に、時間をおくとシブが硬質化して剥がしにくくなり苦労した。

ちなみに剥がしたシブは業者が引き取っていく。家畜の飼料等に混ぜると肉の臭みが減るらしい。


体験所感 :

・お茶の生産はなかなかの肉体労働である。私自身も携わっているうちに慣れてきたところが多々あるけれども、とても独りで取り組めるものではなく、家族を巻き込むか従業員を雇うなどして成り立つ農業だろう。一方で菌床しいたけなど施設で生産する農業はやり方を工夫すれば独りでも可能だと思う。もちろん露地に比べて大きな設備投資が必要だが。

・滞在中は用意された古民家に他のバイト連中と共に宿泊生活する、いわゆる「シェアハウス」状態だった。お世辞にも綺麗と言えない住居で、来た次の日逃げ帰った人もいたが、こればかりは個々の許容度に依るので仕方ない。プライバシーも有って無いような状態で、年代もさまざま性格もいろいろな人がいるので、細かいことを気にする人は耐え難いかもしれないが、期間限定で来ている身からすれば何事も客観視できて苦にはならなかった。ただ住居でインターネット環境が無かったのは不便だった(しかたないので法人の事務所でアクセスした)。田舎といえどもこの時代インターネット環境は欲しいところだ。

・ボラバイトはユニークなシステムではあるけれど、課題もある。今回私は農業研修の一環という意識で赴いたため不満はないが、ボラバイト運営元が広告掲載料と称して給与分の2割も手数料徴収するのは取りすぎじゃないだろうか。またいわゆる「ブラック」な雇用が結構ある(同居者談)にもかかわらず精査されていないところも、行く者にとっては博打になりリスクが大きい。

・川根を選んだ理由の一つは移住先候補として興味であり、休日に空き家物件と周辺環境を見て歩いたりもした。実際来てみると、この地が茶産業を中心に回っていて、良くも悪くもそれに依存し偏っていることを痛感した。それが好況ならまだしも明るい声は聞こえてこない。鉄道が走ってはいても決して利便性は良いとは言えず、まともな買い出しは島田市街まで車で片道4~50分かけて行く必要があるが、そういう不便さを許容してでも移住したい魅力がこの地にあるかと考えると、ちょっと二の足を踏んでしまう。場所はどこであれ、移住決断に心を動かすには何らかの決定的な理由が欲しいのである。

昭和橋からの臨む大井川

2016-03-31

2016年度の行動計画

3月は諸々の情報収集をしながら、この先のライフプランとスケジュールについて練った。以下まとめ。

【基本方針】

そうだ、田舎へ移住しよう!

【確認事項】

(1)なぜそうしたいのか。

・自然環境が魅力。
・セルフメイドな生活が可能になるところ。
・精神的豊かさを求めて。
・住民が互いに助け合うスタンスが嫌いじゃない。
・都会に比べ生活経費が抑えられる。
・かつてWWOOFにて経験し向いていると思うから。 
。。。と大まかにはこんなところ(ツッコミ禁止ね)。

(2)どこに住むのか。それをどうやって探すのか。

・現地調査や引越などのことを考えると近隣地域が適当。具体的には静岡県+山梨県を範囲としたい。

・さらに詳細な地域選定には、自治体の移住者受入スタンス(単身者の移住を望まない地域もある)や魅力的居住物件の有無、収入確保の見込、などを踏まえ現地調査する必要がある。

・居住物件については、地元不動産取引会社の情報、自治体が運営する「空き家バンク」、あるいは現地の人の紹介などを利用して調べる。ネットでの情報掲載は地域差があり、この辺りが候補地選定に影響するところ。

(3)そこでの収入はどうするか。どんな仕事をするか。

・固執してはいないが、田舎の産業形態から考えれば農業に関わっていくのが妥当なんだと思う。本質的に栽培は好きだし、農業人口の減少に一矢報いたり、地域の活性化に寄与したいといった気持ちもある。

・就業形態もいろいろとあり、最初はアルバイトやパート辺りから関わって、いずれ農業法人へ就職もしくは自ら営農といったシミュレーションが出来るが、目指すライフスタイルとの兼ね合いをはからないと元も子もなくなる。

・候補地での情報収集やコネクションづくりも考えると、その地で実施される農業体験や研修に参加するのがいいんじゃないかと考え、全国農業会議所が行っている「農業インターンシップ」に書類を揃えて申込んだが、平成28年度分はまだ募集してないと門前払いされた(その旨ちゃんと明記しとけっての!)。ただそのおかげで新たに「ボラバイト」なるサイトを発見、そこで募集している農業法人で、4月中旬~5月末まで作業手伝いをすることがとりあえず決まった。その後の予定については未定であるが、前述のインターンシップや自治体実施の農業研修、あるいは個別に農家や農業法人が募集するものに乗っていくという方向で考えている。

(4)スケジュール



【後記】

どこかの田舎移住経験者が以下のように記していた。

「あまり考えすぎないことが重要!」

耳が痛いけど(笑)、限られた情報で判断するより、現地で感じることが重要だってことなんだろうと思う。所詮理想の全てがかなう訳じゃないし、最初から十分に整って始められるわけもなく、こだわりもそこそこに適宜勇気を持って妥協することも、前に進むためには必要なんだろうね。
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